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執筆者の写真Saki Ishikawa

ポルシェ、初のNFTコレクションを発表 自動車が続々とWeb3に進出




今、ポルシェや日産、フォルクスワーゲン、ランボルギーニなど、さまざまなメーカーがWeb3にアプローチをかけています。自動車がアパレルのようにファッションとして扱われる時代が、すぐそこまで来ているかもしれません。




現在、Web3の世界に自動車メーカーが続々と参入しています。例えば、日産自動車は、2021年に実車とNFTを結びつけて販売し、最終的に約2億円という値が付きました。今回、初めてNFTコレクションをリリースしたのは、ドイツのメーカーであるポルシェ。


本記事では、ポルシェのNFTと各自動車メーカーのNFTを紹介していきます。


ポルシェが初のNFTを発表

引用:ポルシェ


11月30日、ドイツの自動車メーカー・Porsche(ポルシェ)が初のNFTコレクションを発表しました。NFTのデザインを担当するのは、ドイツを拠点とする3DアーティストのPatrick Vogel(パトリック・フォーゲル)さんです。


NFTの基本的なデザインは白の911となっています。NFTを購入する際、購入者は「パフォーマンス」「ヘリテージ」「ライフスタイル」の中からコアとなるものをひとつ選択します。ひとつひとつデザインが異なり、自分の好みを選択すると、数ヶ月をかけてデザイナーが希望に沿ったアート作品を作り上げてくれる仕組みのようです。


ミントが始まるのは2023年1月で、正確な日付はまだ分かっていません。価格も不明ですが、4回に分けたウェーブでミントが行われるとのことです。また、ホルダーはUnreal Engine 5によって作成されたバーチャルワールドのコレクターアイテムにアクセスできるとされています。


今回NFTとなるのは、長年ポルシェのフラグシップであり続けている「ポルシェ911」シリーズ。ではポルシェはなぜ、今回この911シリーズを選んだのでしょうか?


ポルシェ911とは?

引用:ポルシェ


ポルシェ911とは、1963年に作られて以来ポルシェを代表する車であり続けてきたシリーズです。

公式サイトでは、ポルシェ911について以下のように説明されています。


A car born out of a relentless pursuit of a dream. A car that broke boundaries and defied convention.
夢へのあくなき追求から生まれた車。境界を打ち破り、慣習に逆らった車。

50年以上の歴史を持つシリーズのため、ポルシェ自身の思い入れも強いのでしょう。ユニークなフォルムながらも加速力や操作性に優れており、憧れの車として注目されてきました。1997年までに生産されていたシリーズは、現在の中古価格がなんと7倍になることもあるといいます。


Web3への参入が止まらないVWグループ

多くのメディアで「ポルシェ初のNFTコレクション」と紹介されていますが、ポルシェはフォルクスワーゲンの傘下企業です。

グループ全体で見ると、すでにアウディやランボルギーニなどがNFTコレクションを発表しています。


アウディ

引用:xNFT


高級車を生産・販売するアウディは、フォルクスワーゲングループの自動車メーカーです。


2021年8月、分散型ネットワークプラットフォームのxNFT Protocolと提携して初のNFTコレクションを発表しました。NFTは中国のアーティストが、当時の新車両「Audi A8L 60 TFSIe」にインスピレーションを受けて制作したとのことです。中国限定で販売されたこのコレクションは、「幻想高速(Fantasy Speed)」と名付けられました。


また、2022年5月には、戦時下にあるウクライナを支援するためにNFTアートを販売しています。NFTはデジタルアーティストのFerdi AliciさんとEylul Aliciさんが制作を担当。 この時860,000ドル(約1.1億円)の利益が発生したと言われています。今後も二次流通が発生するたび、利益の10%がウクライナ支援団体のUNO-Flüchtlingshilfeに送られるとのことです。


ランボルギーニ


アウディと同じくフォルクスワーゲングループのランボルギーニ。主に高級スポーツカーの製造・販売を手掛けています。これまでに2度、NFTコレクションを発表してきました。


第一弾のコレクション「Lamborghini NFT Space Time Memory」は、「Space Key」という実物のアート作品が付属する珍しいNFTです。Space Keyに組み込まれているNFTをスマホで読み込むと、NFT作品が表示されるという仕組みで話題となりました。


第二弾は2022年8月に開始された「Epic Road Trip」プロジェクトです。内容は、2022年8月から2023年3月までの8ヶ月間、毎月新しいNFTが4つリリースされるというもの。すべてのNFTを集めた方は「ゴールドパズル」というものを作れたり、メタバースにランボルギーニを取り入れることができる「ランボルギーニGLBファイル」がもらえたりなどの特典が付いてきたようです。


ベントレー

引用:PR TIMES


イギリスの高級車メーカーであるベントレーも、2022年9月にNFTをリリースしています。NFTはベントレーデザインによって制作され、208個限定で販売されました。


プレスリリースによれば、NFTを208個にした理由は、「208」がベントレーにとって特別な数字のためです。ベントレー最速の車「コンチネンタルGTスピード」の最高スピードが208kmであることに加え、ベントレー初期の車「Rタイプコンチネンタル」の総生産台数でもあります。ブロックチェーンにはポリゴンが採用されました。


VWグループ以外もWeb3に関心あり

フォルクスワーゲングループ以外にも、自動車メーカーはWeb3の世界に参入中です。日本では日産自動車が、NFTと実車を結びつけた方法で販売を行い、話題となりました。


日産自動車


引用:motor1.com


2021年、日産の代表的なスポーツカー「GT-R」のデジタルアートがNFTとしてオークションにかけられました。最終的に付いた価格は230万ドル(当時約2億6000万円)。本NFTには、実物のGT-Rが付属するという特典が付いており、ファンや投資家がアツい争奪戦を繰り広げた結果のようです。


28万カナダドル(約2400万円)のスタートから、10倍以上もの値が付いたことにも納得でしょう。

売上の一部は慈善団体に寄付されたということです。また、2022年10月には、モータースポーツゲーム「Torque Drift 2」にて15種類ほどの日産の車がNFTとしてリリースされると発表しています。


ヒョンデ(現代自動車)

引用:ヒョンデ


韓国のヒョンデ(現代自動車)は2022年4月、NFTプロジェクトの「Meta Kongz」とのコラボNFTを販売しました。「Meta Kongz」は韓国企業カカオの子会社Ground Xのブロックチェーン、「Klayton(クレイトン)」で展開されていることから、コラボが決まったようです。


30個限定で販売されたこのNFTは、ひとつあたり1ETH(現在約17万円)と高額だったものの、リリース直後に完売。現在OpenSeaにて二次流通が行われていますが、ホルダーは誰もリストしていないようです。


その他現実と仮想現実の境界線がなくなる「Metamobility universe」をコンセプトとして、「MobED」や「Shooting Star」などのNFTをリリースしています。


自動車をファッションとして飾る時代へ

このように、大手自動車メーカーは続々とWeb3への参入を見せています。決してすべてのプロジェクトがうまくいったわけではありませんが、たくさんの自動車ファンを暗号資産業界に連れてくるきっかけになったことでしょう。


ベントレーはNFTをリリースする際、コレクションを「サステイナブル」と表現しました。自動車をコレクションとしてガレージに収納しておくだけなら、環境を汚さずとも制作できるNFTの方が、「サステイナブル」。近い未来、自動車はファッションとして扱われる場面が増えてくるかもしれませんね。


参考

ポルシェのプレスリリース


ポルシェ911のミントサイト

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